クラウドサービス(Box、Backlog、Canvaなど)の普及により、業務の効率化が進む一方で、「社員の設定ミス一つ」「たった一通のフィッシングメール」から数億円規模の情報漏洩損害に発展するリスクが、いま民間企業で急増しています。
しかし、いざ社内セキュリティ研修をやろうとしても、以下のようなお悩みを抱える担当者様は少なくありません。
- 「専門用語ばかりの研修では、社員が退屈して聞いてくれない」
- 「毎年の研修資料をゼロから作る時間も、講師を雇う予算もない」
本連載では、日本の民間企業が今まさに直面しているリアルなリスクをもとに、そのまま社内研修の「講義台本」として使える構成で、全8回にわたりセキュリティの基礎を分かりやすく解説します。
本連載について
本連載は、現在STORESで販売中の『企業向け情報セキュリティ研修動画〜明日から実践できる、組織と自分を守るための「5つの行動宣言」と護身術〜』の講義内容を全編書き起こしたものです。
動画パッケージの5分間のサンプル動画をYouTubeで無料公開していますので、実際の分かりやすさやクオリティをぜひご確認ください。
- 民間企業向け情報セキュリティ研修パッケージ:55,000円(税込)
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第7章:インシデント発生!その時あなたが取るべき「初動10分」
第7章では、これほど注意をしていても、万が一『ウイルスに感染してしまったかもしれない』『メールを誤送信してしまった』という事態が起きたとき、あなたが取るべき『最初の10分間の行動』について解説します。
セキュリティ対策において、最も被害を大きくするのは、サイバー攻撃そのものではありません。
実は、事故が起きたあとの『人間の行動』なのです。
万が一のとき、会社を致命傷から救うために、あなたが絶対に取るべき行動の鉄則をお伝えします。
最重要のルール:隠した人が、一番怒られる
まず、これからお話しするすべての対策の前に、会社全体で共有しておきたい『絶対に揺るがないルール』があります。
それは、 『インシデントを起こしてしまった人は、決して怒られません。しかし、それを隠した人は、一番怒られます』 ということです。
『怪しいメールの添付ファイルをうっかり開いてしまった』 『クラウドの設定を間違えて、情報が漏れたかもしれない』 『持ち出し用のPCをどこかに置き忘れてきてしまった』
そう気づいたとき、『怒られるのが怖い』『自分の評価が下がるかもしれない』と不安になり、誰にも言わずに放置したり、自分でなんとか解決しようと隠したりしてしまう。
これが、企業にとって最も恐ろしい『最悪のシナリオ』の始まりです。
ミスは誰にでもあります。
初期の段階で報告さえしてくれれば、専門の部署がすぐに対応し、被害を最小限に抑えることができます。
ミスをしたこと自体を責める人はいません。
だからこそ、異変に気づいた瞬間、絶対に『隠さない』こと。
これを自分自身、そしてチームの約束事として強く心に刻んでください。
被害を最小限に抑える「3つの初期動作」
では、パソコンの画面に怪しい警告が出たり、ウイルス感染が疑われたりしたとき、あなたがその場で取るべき『3つの初期動作』を説明します。
慌てずに、次の手順を順番に行ってください。
1つ目は、『ネットワークの遮断』です。
ウイルスは、ネットワークを通じて隣の席のパソコンや、会社の共有サーバーへと一瞬で感染を広げていきます。
異変を感じたら、すぐにパソコンに挿さっている『有線LANケーブル』を抜くか、Wi-Fiの接続をオフにしてください。
まずはパソコンを物理的に『孤立』させ、社内への感染拡大のルートを断つことが最優先です。
2つ目は、『電源は切らない』ことです。
慌ててパソコンの強制終了ボタンを押して電源を切ってしまいたくなりますが、これは大きな間違いです。
ウイルスがどのように侵入し、システムの中で何をしたのかという『証拠(ログ)』は、パソコンのメモリ上に残されています。
電源を切ってしまうと、この重要な解析データが消えてしまい、原因究明や復旧作業が大幅に遅れてしまいます。
画面はそのままで、触らずに置いておいてください。
3つ目は、『即座に報告する』ことです。
ネットワークを遮断したら、すぐに会社の指定する緊急連絡窓口や、情報システム部門へ連絡してください。
『もしかしたら気のせいかも』と迷う必要はありません。
『怪しい動きがあった』という報告だけでも、会社にとっては十分に価値のある情報です。
自己判断の「勝手なウイルス駆除」は絶対NG
初期対応において、良かれと思ってやってしまう、絶対にやってはいけないNG行動があります。
それが、『自己判断によるデータ復旧や、無料のウイルス駆除ソフトのダウンロード』です。
パソコンの調子がおかしくなった時、ネットで『ウイルス 駆除 無料』『データ 復旧 方法』などと検索し、見つけてきたフリーソフトを勝手にインストールして実行する社員がいます。
実は、インターネット上に存在する『無料のウイルス駆除ツール』や『エラー解消ソフト』の多くは、それ自体がウイルスやスパイウェアであるケースが非常に多いのです。
焦ったユーザーの心理に付け込み、さらに凶悪なマルウェアを感染させて、パスワードを完全に盗み出すための罠です。
異変が起きたパソコンに対して、あなたがやるべきなのは『何かを解決すること』ではありません。
『何もしないこと(ネットワークを切ってそのままにすること)』が、専門家にとって最もありがたい、最大の正解対応なのです。
隠蔽が招く「最悪の二次災害」
もし、報告を怠り、事態を放置・隠蔽してしまうとどうなるでしょうか。
あなたのパソコン1台のウイルス感染を放置した結果、夜の間に社内の基幹システム全体へウイルスが広がり、翌朝出社したら全社のシステムが完全停止していた。
あるいは、誤送信したメールを隠し通そうとした結果、数日後に取引先から『御社の情報がネット上に流出しているようだが』と怒りの連絡が入る。
最初の10分間で報告していれば『数人のサポートメンバーによるデータ隔離』で済んだはずのトラブルが、隠蔽によって『全社を巻き込む数億円規模の致命傷』へと膨れ上がってしまうのです。
初動の10分間は、会社を救うための『ゴールデンタイム』です。
あなたの素早い報告が、会社と、そして同僚たちを救う盾になります。
第7章 まとめ
第7章のまとめです。
繰り返します。
『インシデントを起こした人は怒られません。隠した人が、一番怒られます』。
万が一、異変に気づいたときは、次の3つの行動を直ちに行ってください。
- LANケーブルを抜く、Wi-Fiを切るなど、ネットワークを直ちに遮断する。
- 解析用のログを消さないため、パソコンの電源は切らずにそのままにする。自己判断でネットのソフトをダウンロードして使わない。
- 自分の判断で解決しようとせず、指定の窓口へ即座に報告する。
あなたの勇気ある迅速な報告が、企業の致命的なダメージを防ぐ最大の防衛策です。
最後の第8章では、これまで学んできたすべての知識を、明日からの具体的な日常アクションに落とし込む『5つの行動宣言』としてまとめていきます。
第7章、お疲れ様でした。
また、クラウド認証ドットコムでは、 個別の情報セキュリティ研修(オンライン・対面) での教育支援を行っています。
■ 民間企業向け情報セキュリティ研修:連載一覧(全8回)
