「自社のWebサービスや社内システムのアカウント管理は安全だろうか」
「パスワードを強固にしていても突破される可能性がある『セッションハイジャック』って何?」
テレワークの定着やクラウドサービスの活用がビジネスの日常ルーティンとなった現代。
多くの企業がWebサイトや社内システムへログインして業務を行っています。
ログイン時のパスワード管理や二要素認証(MFA)に気を配る企業が増える一方で、「ログインに成功した後の通信(セッション)」そのものを乗っ取る深刻なサイバー攻撃が「セッションハイジャック」です。
セッションハイジャックを受けると、攻撃者はパスワードを知らなくても「ログイン済みの本人」になりすましてシステムを自由に操作できてしまいます。
本記事では、専門用語をわかりやすく噛み砕き、セッションハイジャックの基本的な仕組みから手口、被害事例、そして企業担当者が取り組むべき具体的な対策まで解説します。
1. 3分でわかる「セッションハイジャック」とは?
セッションハイジャックを一言でいうと?
セッションハイジャック(Session Hijacking)とは、Webサイトやシステムにログインしているユーザーとサーバー間の「ログイン状態(セッション)」を攻撃者が横取り(ハイジャック)し、本人になりすまして不正操作を行うサイバー攻撃です。
仕組みを身近な例えで解説:テーマパークの「通行手形」
Webサイトにログインする際、通常はIDとパスワードを入力します。
認証が成功すると、サーバーはユーザーに対して「セッションID」と呼ばれる暗号化されたデジタルな「通行手形(一時的なログイン証明書)」を発行します。
次回以降のページ移動では、わざわざ毎回パスワードを入力しなくても、ブラウザがこの通行手形を提示することで「ログイン済みの本人」として認識されます。
セッションハイジャックは、この「通行手形(セッションID)」を盗んだり偽造したりして、攻撃者が自分自身のブラウザにセットし、本人になりすまして侵入する攻撃です。
そのため、パスワードを変更していても防ぐことができません。

2. セッションハイジャックの主な3つの手口
攻撃者がセッションIDを奪い取る手口には、主に以下の3パターンが存在します。
① セッションIDの「盗聴」(通信の割り込み)
暗号化されていないフリーWi-Fiやセキュリティの低い通信経路(http://)を利用している際、通信内容を割り込んで監視し、やり取りされているセッションIDを直接盗み取る手口です。
② セッションIDの「強奪」(XSS攻撃の悪用)
Webサイトのお問い合わせフォームや検索窓などに存在する脆弱性「クロスサイトスクリプティング(XSS)」を突く手口です。
悪意のあるJavaScriptを実行させ、ブラウザのCookie内に保存されているセッションIDを攻撃者のサーバーへ自動送信させて奪い取ります。
とは?企業担当者が知っておくべきリスクと対策-320x180.png)
③ セッションIDの「推測・固定化」(予測や送り込み)
規則性のある単純なセッションIDを発行しているシステムに対して、攻撃者が数値を推測して当てる手口(推測)や、攻撃者が用意したセッションIDをあらかじめユーザーに踏ませてログインさせる手口(セッション固定化)です。
3. もし自社が被害に遭ったら?想定される危険性と影響
セッションハイジャックを許してしまうと、企業ガバナンスを揺るがす重大なインシデントに発展します。
- 個人情報・機密情報の流出:顧客の管理画面や社内データベースへ侵入され、個人情報や決済情報、開発中の機密データを丸ごと盗み出されます。
- 勝手なデータ改ざんや不正送信:本人になりすましてメールを送ったり、重要データの書き換えや削除、不正な送金・注文処理を実行されます。
- Webサイトの乗っ取りと加害化:管理者のセッションが奪われた場合、自社サイトが書き換えられ、アクセスした一般ユーザーへウイルスを配布する「サイバー攻撃の踏み台」に変えられてしまいます。
結果として、企業の社会的信用は失墜し、損害賠償対応や事業停止といった致命的なダメージにつながります。
とは?企業担当者が知っておくべきリスクと対策-320x180.png)
4. 企業担当者が明日から実施・確認すべき5つの対策
開発コードを書かない情シス・総務・Web担当者様でも、自社システムや従業員を守るために実行できる「実務的アクション」が5つあります。
1.1. Webサイト・システムの「常時SSL化(HTTPS化)」を徹底する:基本のインフラ。
全ページの通信を暗号化(HTTPS化)することで、通信途中でセッションIDが盗聴されるリスクを大幅に低減させます。WebサイトのURLが「https://」で始まっているか客観的に確認しましょう。
2.2. 制作会社・ベンダーに「Cookieの保護属性(HttpOnly/Secure)」を確認する:外部との連携。
システム開発会社やWeb制作会社に「セッション管理用のCookieに『HttpOnly属性』および『Secure属性』は設定されていますか?」と確認しましょう。これにより、JavaScriptによるCookie強奪や非暗号化通信での露出を防げます。
3.3. ログイン後の「セッションID再発行」と「複雑化」を求める:開発ルール。
ログイン成功時にそれまでのセッションIDを棄権し、新しく複雑なランダム文字列のセッションIDを再発行する仕様になっているか、開発側に確認・要求しましょう。
4.4. WAF(Web Application Firewall)を導入する:ツール活用。
WAFを導入することで、セッションID強奪の原因となるXSS(クロスサイトスクリプティング)などのWebアプリケーション脆弱性攻撃を境界線で自動ブロックできます。

5.5. 社内ルールとして「ログアウトの徹底」と「フリーWi-Fi対策」を行う:運用ルール。
業務終了時や離席時には必ず「ログアウト」ボタンを押すよう周知します。また、暗号化されていない野良Wi-Fiでの業務利用を禁止し、VPNの活用をガイドライン化しましょう。

5. 担当者によくある質問(FAQ)
Q1. 二要素認証(MFA)を導入していればセッションハイジャックは防げますか?
A1. ログイン時は防げますが、ログイン後の乗っ取りは防ぎきれません。
二要素認証(MFA)は「ログイン画面を突破されるリスク(パスワード推測など)」に対して非常に強力です。
しかし、セッションハイジャックは「二要素認証を無事に突破して発行された後の通行手形」を横取りする攻撃です。
そのため、通信の暗号化やCookieの保護設定などの根本対策が別途不可欠となります。
はなぜ必要?社員に面倒くさがられないための説明のコツ-160x90.png)
Q2. 制作会社に「セッションハイジャック対策はできていますか?」と聞いて何と言われれば安心ですか?
A2. 「常時SSL化(TLS)はもちろん、CookieにHttpOnly/Secure属性を付与し、ログイン時にセッションIDを再発行(更新)しています」という具体的な回答があれば安心です。
「パスワードをハッシュ化しているので大丈夫です」「SSL化しているので問題ありません」といった部分的な回答にとどまる場合は、専門家による脆弱性診断などを検討することをお勧めします。
まとめ:ログイン「後」の安全性にも目を向けよう
セッションハイジャックは、パスワード管理などの「入口の対策」をどれだけ固めていても、ログイン後の通信管理に隙があれば突破されてしまう巧妙な攻撃です。
- ログイン状態を証明する「セッションID(通行手形)」を盗み・偽造して本人になりすます。
- XSSなどの脆弱性や、非暗号化通信の盗聴からセッションIDが漏洩することが主な原因。
- 「全ページのHTTPS化」「Cookieへの保護属性(HttpOnly/Secure)付与」「WAFの導入」「ログアウト運用の徹底」を組み合わせることが最大の防御になる。
まずは自社のWebサイトや利用中のクラウドサービスで「ログアウト処理が正しく行われているか」「HTTPS通信が強制されているか」を確認し、安全なインフラデザインを確立していきましょう。
情報セキュリティ研修をご検討中の方へ
当サイトでは、企業・自治体向けに以下のサービスをご提供しています。
- 研修動画パッケージ(買い切り型)
- 講師派遣による対面・オンライン研修
- 社内啓発に活用できる無料「情報セキュリティ10箇条」ポスター
動画研修には、スライド一式・理解度確認テスト・研修実施報告書テンプレート・社内掲示用ポスターも付属しており、研修担当者の負担軽減にも役立ちます。
料金やカリキュラムの詳細は、[情報セキュリティ研修サービス一覧] をご覧ください。

とは?仕組みや被害、企業が取るべき対策をわかりやすく解説.png)