「社内システムのパスワード規程、うちは『8文字以上』のまだけど本当に安全?」 「これ以上長くしたら、社員から『覚えられない』とクレームが来そうで悩ましい……」
総務や情報システム担当者が社内のセキュリティ規程を作る際、必ず直面するのが「パスワードの文字数を何文字に設定すべきか」という問題です。
短すぎればサイバー攻撃に突破され、長すぎれば現場の社員が覚えきれずに付箋にメモするなどの本末転倒な事態を招きます。
本記事では、現代のサイバー攻撃の進化に耐えられる「本当に安全な文字数」と、現場が破綻しない社内ルールの作り方を解説します。
1. 頑丈なクラウドを導入しても、「短いパスワード」なら一瞬でこじ開けられる
現在、多くの企業が大切なデータ資産を守るために「Box」や「Backlog」「Canva」といった、世界最高峰のセキュリティ認証(ISMAPやPマーク等)を取得した大手クラウドサービスを導入しています。
システムそのものの防護壁は極めて頑丈なため、「大手のクラウドを使っているから、セキュリティは万全だ」と安心している担当者の方も多いでしょう。
しかし、ここに重大な盲点があります。
どれだけ強固な金庫(クラウド)を導入してシステム対策を徹底していても、それを扱う人間(社員)が設定しているパスワードの文字数が短ければ、攻撃者の自動解析ツールによって正面玄関から一瞬でこじ開けられてしまうのです。
- かつて安全と言われた「8文字(英数混在)」のパスワードは、現代のAIやPCの処理能力なら数秒〜数分で解析される
- どれだけ強固なクラウドでも、ログイン情報の総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)で鍵を破られれば防ぎようがない
どれだけインフラを最新にしても、最後にパスワードという「鍵の強度」を決めるのは「人間(社員)」です。
システム側の安全性を調べることと、社員のパスワード設定の意識を一気に引き上げる人間対策は、完全にセットで進めなければ企業の防壁は完成しません。
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社員に「パスワードを長くして」と伝えるだけでは、面倒くさがって実行されません。
日頃から「使い回さない」「物理的なメモを残さない」といったパスワードの超基本を毎日意識させることが重要です。
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2. 総務が社内ルールで指定すべき「安全な文字数」の基準
では、具体的に社内規程には「何文字以上」と書くべきなのでしょうか。
結論から言うと、現在のセキュリティ基準における正解は「12文字以上」、理想を言えば「16文字以上」です。
① 「8文字」はすでに過去の遺物
一昔前は「英大文字・小文字・数字・記号を混ぜた8文字」が推奨されていましたが、コンピューターの解析速度が爆発的に上がった現代では、8文字のパスワードは数分で解読されてしまうリスクがあります。
記号を混ぜる複雑さよりも、「文字数の長さ」の方が圧倒的に解析時間を引き延ばす効果があるため、最低でも2桁(10文字〜12文字以上)の指定が必須です。
② 現実的なリスク受容のラインは「12文字以上」
安全性を求めて「20文字以上」などにしてしまうと、現場の社員は記憶できず、PCの裏に付箋で貼ったり、個人のスマホにプレーンテキストでメモしたりして、物理的な漏洩リスクが跳ね上がります。
総務としては、システムの安全性と人間の運用限界のバランス(リスク受容)を考慮し、「英数記号混在で12文字以上」を社内の統一基準とするのが最も現実的でスマートなラインです。
③ 社員が覚えられる「パスフレーズ」のテクニックを教える
12文字以上のランダムな文字列を覚えるのは不可能ですが、「単語を組み合わせた文章(パスフレーズ)」にすれば、人間は簡単に記憶できます。
例えば、I_like_Sukiyaki_12(私はすき焼きが好きです+数字)のように、スペースや記号で区切ったフレーズにすれば、簡単に15文字以上の強固なパスワードが作れることを社員に指導するのがコツです。
3. 総務担当者がやるべき「パスワードの穴」を塞ぐ運用のコツ
規約に「12文字以上」と書くだけでは、社員は面倒くさがって古いパスワードをそのまま使い続けます。
ルールを形骸化させないためには、以下の仕掛けが必要です。
- システムの仕様(強制設定)を変更する 社員の善意に頼るのではなく、社内システムや利用しているクラウド(BoxやBacklogなど)の管理画面から、パスワードの最低文字数を「12文字以上」に強制設定します。これにより、ルールを守らなければログインできない仕組みを物理的に作ることができます。
- 「日常の環境」で視覚的に刷り込む パスワードを変更する瞬間に「あ、12文字以上だな」と思い出せる環境が必要です。オフィスの壁や共有スペースにセキュリティルールをポスターとして掲示しておく環境づくりが、最も確実で低コストな教育です。
- 「プロの既存教材」に教育を丸投げする なぜ文字数が必要なのか、どうすれば破られないパスワードを作れるのかを、総務が通常業務の合間に一から分かりやすい教育資料にして全社員に伝えるのは大変です。すでに完成している動画などの「プロの教材」を賢く活用し、担当者のリソースをすり減らすことなく、社内全体の教育水準をプロレベルに引き上げるのが最もスマートな選択です。
4. 人間対策の「仕組み化」で、アカウントの防壁を強固にする
どれだけ企業のインフラを強固にしても、それを扱う「人間(社員)」が設定するパスワードが短く、脆弱であれば、サイバー攻撃者は簡単にその防壁を突破してきます。
しかし、日々の膨大な通常業務を抱えながら、時代に合わせたセキュリティガイドラインを維持し、全社員を教育し続けるのはリソース的に不可能です。
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