「うちは従業員20名以下の小規模な会社だから、サイバー攻撃の標的にはならないだろう」
「セキュリティ対策が重要なのは分かるが、専門のIT担当者も予算もないため、何から手をつければいいのか分からない」
このように、小規模な組織における情報セキュリティの進め方や、限られたリソースの中での防衛策に頭を悩ませている中小企業の経営者、総務、管理担当者の方は少なくありません。
結論から言うと、「企業の規模が小さいから狙われない」という時代は完全に終わっています。
近年、サイバー犯罪者はセキュリティの強固な大企業を直接狙うのではなく、その取引先である守りの手薄な中小企業を最初のターゲット(踏み台)として悪用する手口(サプライチェーン攻撃)を急増させています。
万が一、自社を起点として取引先の重要なデータが漏洩したり、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)によって業務が完全に停止したりすれば、数千万円規模の損害賠償や営業損失に発展し、会社の存続すら危うくなりかねません。
しかし、大企業のような高額なセキュリティシステムを導入する必要はありません。
従業員20名以下の企業が最初に行うべきは、「お金をかけずに、今すぐできる基本的な運用の徹底」です。
本記事では、ITの専門知識がない中小企業でも今日から実践できる、最低限やるべき5つの情報セキュリティ対策を分かりやすく解説します。
1. なぜ「従業員20名以下」の企業が狙われるのか?
小規模な中小企業がサイバーリスクに直面する主な理由は、以下の2つの背景にあります。
理由①:シャドーIT(未許可ツール利用)が発生しやすい
従業員数が少ない組織では、業務のスピードを優先するあまり、「使い慣れているから」と個人の無料クラウドストレージや無料の翻訳ツールに機密データをアップロードして業務を行ってしまう、いわゆる「シャドーIT」が日常化しがちです。
これが悪意のない情報漏洩の大きな原因となっています。
理由②:PCやネットワークの管理が「個人任せ」になりがち
専任の情報システム担当(情シス)がいないため、各自のパソコンのOS更新やセキュリティソフトの契約更新が本人任せになり、古い脆弱性(システムの弱点)が放置されたままインターネットに接続されているケースが非常に多く見られます。
2. コストゼロから始める!最低限やるべき「5つの対策」
予算やリソースが限られていても、以下の5つの基本を組織内で徹底するだけで、サイバー攻撃の成功確率を大幅に下げることが可能です。
①:OSとソフトウェアを「常に最新」に保つ
- 実務的アプローチ:WindowsやMacのOSアップデート、および各種ブラウザや業務アプリの更新通知が来たら、絶対に後回しにせず「即座に適用」します。 サイバー攻撃の多くは、システムの古い弱点を突いて侵入してくるため、自動更新(オートアップデート)を全員のPCで有効化しておくことが最も安価で強力な防御壁となります。
②:強力なパスワードの設定と「使い回しの禁止」
- 実務的アプローチ:メールやクラウドサービス等のログインパスワードに「123456」や「英単語、誕生日」といった推測されやすい文字列を使うのは絶対にNGです。 「英大文字・小文字・数字・記号を混ぜた最低12文字以上、できれば16文字以上」を基本とし、複数のサービスで同じパスワードを使い回さないルールを徹底します。可能な限り、スマートフォン等を用いた「多要素認証(MFA)」を有効にすることが推奨されます。
③:セキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)の導入と有効化
- 実務的アプローチ:すべての業務PCに必ずセキュリティソフトを導入します。Windowsに標準搭載されている「Microsoft Defender」でも、常に最新の状態を維持していれば一定の防御力を発揮します。 「契約が切れた古い市販ソフト」がそのまま入っている状態が最も危険であるため、稼働状況を定期的に確認することが重要です。
④:万が一に備えた「重要データのバックアップ」
- 実務的アプローチ:ランサムウェアに感染してPC内のファイルが暗号化されてしまっても、別の場所にデータが残っていれば会社は復旧できます。 重要な書類や顧客データは、PC本体だけでなく、外付けハードディスク(バックアップ時以外は物理的にネットワークから外しておくもの)や、安全な法人向けクラウドストレージに定期的に二重保存する仕組みを作ります。
⑤:クリアデスク・クリアスクリーンの徹底(物理的な防犯)
- 実務的アプローチ:離席時は「Windowsキー + L」などで必ずPC画面をロックすること、退社時は机の上に書類やUSBメモリを残さず鍵付きの引き出しにしまうことを徹底します。 小規模オフィスでは来客と執務スペースの距離が近いため、物理的な盗み見や盗難(ソーシャルエンジニアリング)を防ぐ意識が不可欠です。
3. 最大の弱点「人間の隙」を無くすためのリテラシー教育
従業員20名以下の企業において、最も投資対効果(コストパフォーマンス)が高い対策は、高価なITツールを導入することではなく、「全従業員のセキュリティ意識を高めること」です。
どんなにパソコンの設定を固めても、従業員が一通の怪しいフィッシングメール(不審な添付ファイルやURL)を「うっかり」クリックしてしまえば、そこから簡単に社内ネットワークへ侵入されてしまいます。
- 要点を凝縮した「動画」による社内啓発: 分厚いセキュリティマニュアルを用意して読ませようとしても、少数精鋭で多忙な現場の従業員には浸透しません。 最新のビジネスメール詐欺の手口はどうなっているのか」「無料の翻訳サイトに契約書をコピペするのがなぜ危険なのか」を、ビジュアルで直感的に学べる動画教材を日頃のミーティングなどで導入します。 業務の隙間時間に視聴できる動画を活用し、全員が「怪しいものに気づく目」を養うことこそが、従業員20名以下の組織における最も確実でローコストな防衛の土台となります。
よくある質問(FAQ)
Q. 公的な「セキュリティ対策の証明」を無料で取得できる制度はありますか?
A. 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している「SECURITY ACTION(セキュリティアクション)」という制度があります。
中小企業が自らセキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度で、まずは「情報セキュリティ5か条」の実践を誓う「一つ星(★)」から無料で申請できます。
これに取り組むことで、社内の意識が高まるだけでなく、IT導入補助金などの申請時に優遇措置(加点)を受けられるメリットも存在すると考えられています。
Q. 社員が私物のパソコン(BYOD)を業務で使いたがっています。許可しても大丈夫ですか?
A. 原則として、適切な管理ができない私物PCの業務利用は禁止することが推奨されます。
私物PCは家族が共用していたり、ウイルス対策が不十分であったりするリスクが極めて高いためです。
どうしても利用させる場合は、
「会社指定のセキュリティソフトを入れる」
「会社のクラウドにブラウザ上でのみアクセスさせ、ローカル環境へのデータ保存を禁止する」
といった厳格なテレワーク規約を定め、運用の仕組み化を行うことが安全と想定されます。
まとめ
従業員20名以下の企業における情報セキュリティ対策の本質は、高い予算をかけることではなく、「OSの更新」や「パスワード管理」といった当たり前の基本ルールを、全員が例外なく毎日徹底する組織風土(ガバナンス)を築くことにあります。
- 小規模企業であっても、大企業を狙うサイバー攻撃の「踏み台」として標的になるリスクがある
- OSの最新化、強力なパスワード、バックアップの実施など、コストゼロからできる5つの基本を徹底する
- ツールの導入以上に、研修動画などを活用した「従業員への継続的なリテラシー教育」が最も費用対効果が高い
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料金やカリキュラムの詳細は、[情報セキュリティ研修サービス一覧] をご覧ください。






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